【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
 冒険者とは旅人の護衛をしたり、要請を受けて害獣や魔獣を討伐したりするなんでも屋のこと。
 傭兵は各地の領主様や大きな街の警護に雇われる流れの軍人さんだ。

「じゃあ、王都の噂は聞いたかい? 新しい聖女様が見つかっただろ。それでこの町のみんなもずいぶん喜んでいたんだけど」

 そこで、女将さんは急に声をひそめた。

「あのさ、聖女様のお力が失われたって、本当かね?」
「聖女の力が……?」
「ええ!? そんな話、聞いたことないわ」
「そうかい、あちこち回ってる冒険者が知らないなら、やっぱり与太話なのかねえ」

 王宮から追放されて以来、もちろん聖女になったモーリーンには会っていないし、そもそも基本的に人里離れた場所にいるので、聖女の噂も入ってこない。
 モーリーンに何かあったのかしら。
 単なる流言ならいいのだけど。

「聖女の力が、ね……」

 ヴォルフは難しい顔で、女将さんの話を聞いていた。



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