【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
マリアーナの寝顔は聖女そのものだ。純真無垢で清らかで、まだなんの色にも染まっていない。
「聖女、か」
俺は初めてマリアーナと逢った時のことを思い出していた。
マリアーナと、双子の妹モーリーン。
その妹のほうが聖女に選ばれた顛末を。
最初にマリアーナに出逢った時、後ろからやってきたのが妹のモーリーンだった。
『白狼? おお怖っ!』
そう言って、マリアーナとそっくりな女が木の陰から現れたのだ。
そいつは俺のことを街の人間に知らせようとしたマリアーナを嘲笑った。
『早く神殿に行かないと、聖女選定の儀が受けられなくなるじゃない。あたしが、みんなの待ち望んでいる聖女かもしれないのよ?』
おまえみたいな不快な女が聖女のわけがない。
そう吐き捨てたかったが、狼の姿では人の言葉を話せないし、すぐにどうでもいいかという気持ちが勝った。
『連絡係なんて、あなたがやりなさいよ。『蕾のマリアーナ』にふさわしい仕事だわ』
あの妹が役に立ったのは、マリアーナの名を教えてくれたことくらいだろう。
奴はその後、神殿に行き、聖女として認定された。
「聖女、か」
俺は初めてマリアーナと逢った時のことを思い出していた。
マリアーナと、双子の妹モーリーン。
その妹のほうが聖女に選ばれた顛末を。
最初にマリアーナに出逢った時、後ろからやってきたのが妹のモーリーンだった。
『白狼? おお怖っ!』
そう言って、マリアーナとそっくりな女が木の陰から現れたのだ。
そいつは俺のことを街の人間に知らせようとしたマリアーナを嘲笑った。
『早く神殿に行かないと、聖女選定の儀が受けられなくなるじゃない。あたしが、みんなの待ち望んでいる聖女かもしれないのよ?』
おまえみたいな不快な女が聖女のわけがない。
そう吐き捨てたかったが、狼の姿では人の言葉を話せないし、すぐにどうでもいいかという気持ちが勝った。
『連絡係なんて、あなたがやりなさいよ。『蕾のマリアーナ』にふさわしい仕事だわ』
あの妹が役に立ったのは、マリアーナの名を教えてくれたことくらいだろう。
奴はその後、神殿に行き、聖女として認定された。