【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
滝の裏には洞窟があり、その入口でヴォルフはわたしを下ろしてくれた。
「クゥン」
「……こんな世界があるのね」
激しい水流のカーテンに閉ざされた空間は薄暗いけれど、あちこちに日差しが差しこんで水飛沫が輝いて見える。
大きな水音で耳が潰れそうだ。
「まだ奥があるの?」
曲がりくねった暗い洞穴を奥に進むと、滝の轟音も少しマシになってきた。
何度目かの角を折れると、やや開けた場所があった。
どこからか細く光が差しこんでいる。洞窟の壁がきらきらと光る様はとても幻想的で、神聖な空気すら漂っているようだった。
「ここは?」
安心していいと言わんばかりに、白銀色の狼がごろりと横になる。
「あなたの秘密の隠れ家のひとつ、なのかしら」
わたしもマントを外して、その巨体に寄りかかって座りこんだ。
「ヴォルフのおなかのもふもふ、気持ちいい」
「キューン」
「ヴォルフ、綺麗なものを見せてくれてありがとう」
ヴォルフがわたしの頬を舐める。
何に追われていたのかわからないけれど、ちょっと日常が戻ってきたようでホッとした。
* * * * *
「クゥン」
「……こんな世界があるのね」
激しい水流のカーテンに閉ざされた空間は薄暗いけれど、あちこちに日差しが差しこんで水飛沫が輝いて見える。
大きな水音で耳が潰れそうだ。
「まだ奥があるの?」
曲がりくねった暗い洞穴を奥に進むと、滝の轟音も少しマシになってきた。
何度目かの角を折れると、やや開けた場所があった。
どこからか細く光が差しこんでいる。洞窟の壁がきらきらと光る様はとても幻想的で、神聖な空気すら漂っているようだった。
「ここは?」
安心していいと言わんばかりに、白銀色の狼がごろりと横になる。
「あなたの秘密の隠れ家のひとつ、なのかしら」
わたしもマントを外して、その巨体に寄りかかって座りこんだ。
「ヴォルフのおなかのもふもふ、気持ちいい」
「キューン」
「ヴォルフ、綺麗なものを見せてくれてありがとう」
ヴォルフがわたしの頬を舐める。
何に追われていたのかわからないけれど、ちょっと日常が戻ってきたようでホッとした。
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