【書籍化&コミカライズ】身代わり聖女の初夜権~国外追放されたわたし、なぜかもふもふの聖獣様に溺愛されています~
「わたしにもできた。自分の道を決められた。自分がどう在りたいのか、何をしたいのか……。まわりの誰かじゃなくて、決めるのは自分なんだって、初めて知ったの」

 わたしもヴォルフとずっと一緒にいたい。
 わたしに幸せをくれたヴォルフを、わたしも幸せにしたい。
 そのために。

「わたしはもっと強くなりたい。だから、ね、聖女の話、聞かせて?」

 ヴォルフはしばらく低い声で唸ってから、渋々と話してくれた。

 聖女選定の儀で、妹のモーリーンが選ばれた理由。
 王宮で行われた聖女継承の儀で、聖なる水晶が壊れたわけ。

「すべてヴォルフの神力のせい……?」

 モーリーンが神殿の森でヴォルフを垣間見た時に、ヴォルフの神力の残り香のようなものが、一時的にモーリーンを覆った。聖なる水晶が反応したのは、そのため。
 そして、水晶が黒く変色しひびわれたのは、ヴォルフの濃厚な『匂い』がわたしに付きすぎていたから。

「つまり、本物の聖女はマリアーナ、おまえだ」

 わたしが本物……?
 わたしは、偽聖女じゃなかったの?

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