今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
両手を頭の上で拘束され、いつものように目隠しをされる。

・・・不思議だ。好きな相手にこそ手酷く愛されたいと願う。引力。魔力。叶になら何をされても構わないとこの躰を差し出せてしまう。

「僕はどうしても君が欲しい。・・・スズ」

一瞬。ひどく哀しさを感じたのは何故だろう。見えていないのにどうしてか。

何かを云おうとした口は啄むように塞がれ、舌が絡み合ううちに言葉を忘れ去っていた。慣らされた場所に這い回る舌と指に絶え間なく声を上げ、そこから一息に理性が決壊した。

昇り詰めて大きく躰を仰け反らせ、糸の切れた人形のように肢体を投げ出すあたしに構わず、叶はそのまま中に入って来た。突き上げられ、揺さぶられて、力無い悲鳴を繰り返す。

どこか切羽詰まったみたいな。いつもの叶と違う。切なく求められながら刻まれている。何を?・・・分からない。

白に染まりかけの意識の隅で朦朧としていた。 
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