今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
3-3
部屋着のまま車に乗せられ、連れて来られたのは見知らない場所。不思議と不安も恐怖も沸かなかった。叶はずっと、いつも通りの叶だった。
途中、車の中で目隠しをされたから時間の感覚も、どこかも真っ暗で判らない。森の中なのか山の中なのか暗闇に高い樹々のシルエット。平屋建てで、和モダン風な造りの建物が目の前にあった。
「ようこそ人形堂へ」
先に到着していたらしい時雨が出迎え、わざとらしく笑いを浮かべた。
人形堂。新しいキーワード。でもどこか聴き慣れた・・・。ああそうだ、叶だ。“僕の人形”。あたしをそう呼ぶから。
人形。自分の意思では指先ひとつ動かせはしない傀儡。見えない吊り糸に括られてるのはあたし。
望んでその躯を差し出したのも。
途中、車の中で目隠しをされたから時間の感覚も、どこかも真っ暗で判らない。森の中なのか山の中なのか暗闇に高い樹々のシルエット。平屋建てで、和モダン風な造りの建物が目の前にあった。
「ようこそ人形堂へ」
先に到着していたらしい時雨が出迎え、わざとらしく笑いを浮かべた。
人形堂。新しいキーワード。でもどこか聴き慣れた・・・。ああそうだ、叶だ。“僕の人形”。あたしをそう呼ぶから。
人形。自分の意思では指先ひとつ動かせはしない傀儡。見えない吊り糸に括られてるのはあたし。
望んでその躯を差し出したのも。