今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
蒼い炎を激しく燃やすように、静かにたぎるように。深く求めては切なさを吐き出すように。家に着いた途端、寝室に引き摺りこんで叶はあたしを貪り尽くす。
 
「・・・酷くするけど我慢して、スズ」

荒い息遣い。低い呻き。頭がどうにかなりそうに鮮烈な快楽と刺激に、灼かれた。このまま()ったら戻ってこられなくなりそうで怖くて。泣きながら悲鳴を上げ続けているうちに記憶が途切れた。叶が上げた声を聴いた気もした。




羽根布団と人肌の温もりに包まれながら、ぼんやり意識が醒めた。小さく身じろぎすると隣りが寝返りを打ち、ベッドが静かに軋む。やんわり引き寄せられて耳元にキスが落ちた。

「・・・おはよう」

「ぉはよ・・・」

喉が渇きすぎてうまく声が出せない。気怠くて目もちゃんと開けられない。・・・重たい、ぜんぶ。

「ごめん。・・・無理させたね」

「・・・ううん・・・」

悲しそうな気配に自分からも胸元に摺り寄せる。躰は癒えるし、心はどこも(いた)んでいないから。

「平気。叶は・・・あたしを好きなだけでしょう・・・?」
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