今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
もう赦してと懇願するたび容赦なく支配された。切なくあたしの名を呼んで、幾つも(くさび)を撃ち込んだ。・・・独占欲、嫉妬。歪な烈情でも愛としか呼べないもの。愛しい人からの贈り物。

「だからいいの」

小さく呟く。

「もっと好きにして、叶・・・」

刹那、骨が砕けるかと思うくらいの強さで抱き竦められる。

「・・・・・・本当に悪い子だねスズは」

髪に埋まった熱い吐息。どこか艶めかしい低い声。

「僕を悪魔にでもするつもりなのかな」





カーテンを閉め切った、昼も夜も定かじゃない(へや)の中に閉じこもりきり。抱かれて、食べて、眠って。それだけを何回繰り返したか数えてもいない。

見えない首輪を嵌められ鎖で繋がれ。
叶の人形になって愛でられる。
叶しかいないセカイは。



蜜の味しか、しない。
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