今宵も甘く咲く ~愛蜜の贄人形~
「本当に狡い子だね」

どの辺が?訊き返そうとして鼻先に口付けられた。次に額、瞼、唇。

「・・・そうやって僕を籠絡する」

体重がかけられ仰向けに倒されていく自分。

「狡くて可愛くて、堕とされたのは僕の方だったかな・・・・・・」

首筋を這った舌が耳の穴に埋まる。淫らな水音、侵されていく感覚にスイッチが切り替わった。疼きと痺れ。もっと欲しくなる。

「君を見つけられたのは奇跡だったのかもしれないね。何に感謝しようか。神様にかな、・・・それとも」

残りわずかな理性も手放しかけのあたしに届いた声。

優しく聞こえた。
どこか遠かった。

とても大事な言葉を聴いたのに。熔けて沈んでいった。
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