「槙野だったら、何味にする?」
九月。始業式。ヤヨちゃんとのお泊まりの余韻が未だに抜けないまま、全校集会の列に並んでいる。

お盆が明けて、八月二十日も過ぎ、あと一週間ちょっとで夏休みも終わりという頃、涼太にヤヨちゃんとお泊まりしたんだって話をした。お泊まりで浮かれすぎていた僕は惚けたままの頭で、もう宿題なんてどうでもいいや、宿題をいくら頑張っても頑張らなくても、僕にとって一番大事なのはヤヨちゃんとのことだ、なんて思っていた。
思っていたんだけど、何気なくカレンダーを眺めていた僕は、ようやく自分の馬鹿さ加減に気がついて、涼太に泣きついた。

国語と数学のドリルを持って僕の家まで来てくれた涼太は、夏なのに全然焼けてもなくて、涼しげで、そりゃモテるよなぁなんて思った。

僕の部屋で涼太に麦茶だけを振る舞って、僕はせっせとドリルを写している。自分でも呆れるくらいに集中力がなくて、ページは全然進んでいない。

その時だ。涼太が「一体夏休み中なにしてたんだよ。」って聞いてきたのは。
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