「槙野だったら、何味にする?」
実際よりも長く感じる全校集会がようやく終わった。全学年、各クラスの列がバラバラと崩れていく。僕も体育館から早く脱出したいけれど、出入り口は人混みでごった返している。花火大会やLIVEなら人混みを避けて早めに動き出せるけれど、学校の集会だとそうもいかない。こう言う時は身長が高い方が絶対に有利だ。

どうにか人混みを掻き分けて体育館の外に出ると、ヤヨちゃんが僕を待っていた。

「まきのー。戻ろー。」

すごくしんどそうな表情で僕に手招きしている。ヘロヘロ…って感じだ。その隣には涼太も居る。

「あれ、ヤヨちゃん早かったね。いつの間に。」

「こういうのはコツがあるのよ。コツが。」

ヤヨちゃんは早く教室で涼もうと、僕達の先頭に立った。コツは教えてくれなかった。

「涼太も早かったね。」

「一番後ろだからな。」

涼太の得意げな自慢…僕からしたら自慢だ。自慢は無視を決め込んだ。
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