「槙野だったら、何味にする?」
十二月。僕達の住む街には、冬になるとよく雪が降る。積もることも珍しくない。

放課後、今日は比較的雪は積もっていなくて、軽く雪をかいただけの運動場は所々白かったり砂が混ざって茶色くなっていたりして、あんまり綺麗じゃない。

サッカー部の練習に混ざって涼太が遊ばせてもらっているのをヤヨちゃんと二人で待っていた。約束をしたわけじゃない。冬になると本当に暗くなるから、涼太がヤヨちゃんを家まで送っていくんだけど、今日も待ってるって言うから、一人で待たせるわけにもいかなくて、僕も一緒に待つことにした。
待たないで帰れば別に暗くもないんだけど、ヤヨちゃんにとって暗いかどうかが問題なわけじゃないらしい。

僕はヤヨちゃんと二人で話せる口実があれば何でも良かった。それが今だけだと分かっていても。ヤヨちゃんにとってのメインが僕じゃなくても。
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