「槙野だったら、何味にする?」
朝のホームルームが終わって、僕は一人で屋上への階段をのぼった。相変わらず屋上のドアは重たくて、教室のドアよりももっと軋んだ音がする。
白い塗装も所々剥がれ落ちていて、赤茶色の錆びた鉄が見える。
空の色は薄い水色。風は乾いていて冷たい。今日は一日中晴れているかもしれないけれど、この時期の天気は変わりやすい。お昼頃になればまた雪が散らつき始めるかもしれないけれど、今はもうどっちでも良かった。
僕の後ろで軋む音がする。誰かが屋上に来た。絶対に涼太だと思った。フェンスを正面にして運動場を見下ろし続ける僕とは反対に、カシャンっと音を立てて、涼太はフェンスに軽く背中を付けた。
「やっぱり。」
「何が。」
「絶対涼太だと思った。」
「変なとこ見透かすなよ。」
涼太は自嘲気味に笑った。この風と同じくらい、乾いた笑い方だった。
白い塗装も所々剥がれ落ちていて、赤茶色の錆びた鉄が見える。
空の色は薄い水色。風は乾いていて冷たい。今日は一日中晴れているかもしれないけれど、この時期の天気は変わりやすい。お昼頃になればまた雪が散らつき始めるかもしれないけれど、今はもうどっちでも良かった。
僕の後ろで軋む音がする。誰かが屋上に来た。絶対に涼太だと思った。フェンスを正面にして運動場を見下ろし続ける僕とは反対に、カシャンっと音を立てて、涼太はフェンスに軽く背中を付けた。
「やっぱり。」
「何が。」
「絶対涼太だと思った。」
「変なとこ見透かすなよ。」
涼太は自嘲気味に笑った。この風と同じくらい、乾いた笑い方だった。