「槙野だったら、何味にする?」
電車を降りて、早足で学校の方へと急ぐ。その校門も通過して更に先へと急いだ。あと十分もしないくらいで、ヤヨちゃんの家のチャコールグレーの屋根が見えてくる。
思えばヤヨちゃんの家に一人で行くのは初めてだ。僕のその「初めて」を涼太はとっくに終えていて、もう何回もこの道をヤヨちゃんと二人で歩いているんだ。今の僕とは違う。ヤヨちゃんと二人で。
僕だって今はヤヨちゃんの為にこの道を通っているし、そもそもそんなこと、ヤヨちゃんが大変な時に考えてしまうなんて最悪だって思ったけれど、不可抗力だ。
チャコールグレーの屋根。ヤヨちゃんの家の前に着いた。涼太はいつも、この玄関先でどんな会話をして、何て言ってヤヨちゃんと別れてるんだろうとか、家に上がったことはあるのかなとか、一瞬でも考えなかったわけじゃない。でもさすがの僕でも、そんなこと考えてる場合じゃないと自分を戒めてヤヨちゃんに「着いたよ。」とトークを送った。ヤヨちゃんから「開いてるよ。」とすぐに返事が来た。
思えばヤヨちゃんの家に一人で行くのは初めてだ。僕のその「初めて」を涼太はとっくに終えていて、もう何回もこの道をヤヨちゃんと二人で歩いているんだ。今の僕とは違う。ヤヨちゃんと二人で。
僕だって今はヤヨちゃんの為にこの道を通っているし、そもそもそんなこと、ヤヨちゃんが大変な時に考えてしまうなんて最悪だって思ったけれど、不可抗力だ。
チャコールグレーの屋根。ヤヨちゃんの家の前に着いた。涼太はいつも、この玄関先でどんな会話をして、何て言ってヤヨちゃんと別れてるんだろうとか、家に上がったことはあるのかなとか、一瞬でも考えなかったわけじゃない。でもさすがの僕でも、そんなこと考えてる場合じゃないと自分を戒めてヤヨちゃんに「着いたよ。」とトークを送った。ヤヨちゃんから「開いてるよ。」とすぐに返事が来た。