「槙野だったら、何味にする?」
ヤヨちゃんの部屋の前。ブラウンのドアに「YAYOI」とローマ字の、木材で象られたルームプレート。一つ一つのローマ字が赤、ピンク、黄色、オレンジ、緑で塗られている。
このルームプレートは知っている。ヤヨちゃんが小学校の図工の時間に作ったって言ってた。
ローマ字の周りには、ひよこ、うさぎ、パンダ、金魚のぷくっとしたシールが貼られている。
金魚。動物の中に突然の魚。ヤヨちゃんは金魚が好きなんだな。浴衣の柄もそうだった。
「ヤヨちゃん。」
部屋の前でヤヨちゃんを呼んだ。僕の声は、内緒の話をする時みたいに小さかった気がする。
「入って。」
ヤヨちゃんの声。スマホ越しに聴いたヤヨちゃんの声は弱々しかった。ドア越しだけど、今もやっぱり弱々しい。
ドアを開けてヤヨちゃんの部屋に入った。ヤヨちゃんはベッドに仰向けに寝ている。マットレスに掛けられたボックスシーツも、掛け布団カバーも、枕カバーも、全部同じ色のブラウン。意外な色だなって思った。
掛け布団の中から覗くパジャマは、夏休みに着ていたルームウェアとは違う、白地にネイビーの縁が入ったシンプルな物だ。大人の人が着るみたいなパジャマで、これも意外だった。
あのピンクでふわふわのルームウェアは、もしかしたらヤヨちゃんにとって特別な物だったのかもしれない。
全部が大人の人みたいな落ち着いた色に、ヤヨちゃんの淡い栗色の髪の毛だけが少女であることを象徴している様だった。
このルームプレートは知っている。ヤヨちゃんが小学校の図工の時間に作ったって言ってた。
ローマ字の周りには、ひよこ、うさぎ、パンダ、金魚のぷくっとしたシールが貼られている。
金魚。動物の中に突然の魚。ヤヨちゃんは金魚が好きなんだな。浴衣の柄もそうだった。
「ヤヨちゃん。」
部屋の前でヤヨちゃんを呼んだ。僕の声は、内緒の話をする時みたいに小さかった気がする。
「入って。」
ヤヨちゃんの声。スマホ越しに聴いたヤヨちゃんの声は弱々しかった。ドア越しだけど、今もやっぱり弱々しい。
ドアを開けてヤヨちゃんの部屋に入った。ヤヨちゃんはベッドに仰向けに寝ている。マットレスに掛けられたボックスシーツも、掛け布団カバーも、枕カバーも、全部同じ色のブラウン。意外な色だなって思った。
掛け布団の中から覗くパジャマは、夏休みに着ていたルームウェアとは違う、白地にネイビーの縁が入ったシンプルな物だ。大人の人が着るみたいなパジャマで、これも意外だった。
あのピンクでふわふわのルームウェアは、もしかしたらヤヨちゃんにとって特別な物だったのかもしれない。
全部が大人の人みたいな落ち着いた色に、ヤヨちゃんの淡い栗色の髪の毛だけが少女であることを象徴している様だった。