「槙野だったら、何味にする?」
朝のホームルームが終わって、僕はヤヨちゃんの席に行った。まだかなり不機嫌そうだった。
触らぬ神に祟りなし、とは言うけれどヤヨちゃんがずっと不機嫌なのは嫌だった。
「最悪…」
ヤヨちゃんが呟く。
「ん。涼太の席、遠いもんね。」
僕の返事にヤヨちゃんはますます機嫌を損ねてしまったみたいだ。
「だーかーらー!そんなんじゃないってば!槙野もでしょ!槙野とだってこんっなに遠くなっちゃったし、しかもよりにもよって一番前!」
「んー?うん、そうだね。」
不機嫌な理由に僕のことも含まれていたことがうれしくて、僕の声色はきっと今のヤヨちゃんに対する返事には不釣り合いだったと思う。
「ヤヨちゃん、何座だっけ?」
「え、なんで?」
「いや、ごめん。何でもない。またすぐ席替えあるよきっと。」
占い一位のアイツのせいで、占いを引きずってる僕を、ヤヨちゃんは怪訝そうに見ながら「絶対やんないよ二学期まで。去年もそうだったじゃん。」と口を尖らせた。
僕達の担任は去年も同じだった。一学期に一回しか席替えをしない。他のクラスはもっとしてるのにって、不満そうな生徒はけっこう多かった。くじ運の悪い僕も、もっと頻繁にやってくれないと割りに合わないとすら思っていた。
「じゃあさ、二学期はきっといい席が回ってくるよ。」
「んー…分かった。槙野が言うなら信じておく。でもさ、席遠くなっちゃったけど、休み時間になったら槙野、来てくれるでしょ?」
可愛い。とても。可愛くて可愛くて、大好きだ。今すぐ言っちゃいたい。
「うん。もちろん。ほら、涼太、起こしてきてあげなよ。もうすぐ授業始まるよ。」
その一言で浮かれた僕は、きっと情けなくヘラヘラしてるだろうし、そんな顔は見られたくない。
机に突っ伏して寝ている涼太を指さしてヤヨちゃんを促した。
「うん!」
ようやくにこにこしてくれたヤヨちゃんの背中を見送りながら、僕も自分の席に戻った。
あとでアイツに聞いてみよう。今日のおとめ座は何位だったって。
きっと上位だったはずだ。ヤヨちゃんがこんなに可愛いんだから。
触らぬ神に祟りなし、とは言うけれどヤヨちゃんがずっと不機嫌なのは嫌だった。
「最悪…」
ヤヨちゃんが呟く。
「ん。涼太の席、遠いもんね。」
僕の返事にヤヨちゃんはますます機嫌を損ねてしまったみたいだ。
「だーかーらー!そんなんじゃないってば!槙野もでしょ!槙野とだってこんっなに遠くなっちゃったし、しかもよりにもよって一番前!」
「んー?うん、そうだね。」
不機嫌な理由に僕のことも含まれていたことがうれしくて、僕の声色はきっと今のヤヨちゃんに対する返事には不釣り合いだったと思う。
「ヤヨちゃん、何座だっけ?」
「え、なんで?」
「いや、ごめん。何でもない。またすぐ席替えあるよきっと。」
占い一位のアイツのせいで、占いを引きずってる僕を、ヤヨちゃんは怪訝そうに見ながら「絶対やんないよ二学期まで。去年もそうだったじゃん。」と口を尖らせた。
僕達の担任は去年も同じだった。一学期に一回しか席替えをしない。他のクラスはもっとしてるのにって、不満そうな生徒はけっこう多かった。くじ運の悪い僕も、もっと頻繁にやってくれないと割りに合わないとすら思っていた。
「じゃあさ、二学期はきっといい席が回ってくるよ。」
「んー…分かった。槙野が言うなら信じておく。でもさ、席遠くなっちゃったけど、休み時間になったら槙野、来てくれるでしょ?」
可愛い。とても。可愛くて可愛くて、大好きだ。今すぐ言っちゃいたい。
「うん。もちろん。ほら、涼太、起こしてきてあげなよ。もうすぐ授業始まるよ。」
その一言で浮かれた僕は、きっと情けなくヘラヘラしてるだろうし、そんな顔は見られたくない。
机に突っ伏して寝ている涼太を指さしてヤヨちゃんを促した。
「うん!」
ようやくにこにこしてくれたヤヨちゃんの背中を見送りながら、僕も自分の席に戻った。
あとでアイツに聞いてみよう。今日のおとめ座は何位だったって。
きっと上位だったはずだ。ヤヨちゃんがこんなに可愛いんだから。