「槙野だったら、何味にする?」
ヤヨちゃんが次々に出していく絵の具を見ながら、ふと去年のヤヨちゃんの言葉が甦る。
「槙野だったら、何味にする?」
雪を食べるなら、かき氷のシロップは何味にする?って言葉だ。そう言えば雪の日が続く季節が、もう少しで今年もやってくる。一年経とうとしている今も、その答えはまだ出せていない。
「いちご。」
「え?」
ヤヨちゃんがぐりぐりと色を混ぜていた筆を止めて、僕を見た。
「ううん。その朱色、いちご味みたいだなって。」
「そうかなぁ。」
ヤヨちゃんは納得していないみたいに笑って、また筆をぐりぐりとし始めた。
ヤヨちゃんは考えがあって混ぜているのか適当なのか分からないけれど、どんどん色を混ぜていく。その色を見ながら、いちご味はやめようと思っていた。誰にも僕の答えを当てられない味にしよう。涼太にも見透かされないように。
「ね!これどう?」
ヤヨちゃんが得意げにパレットを僕に見せてきた。何系統の色なのかも分からない。紫っぽい、青っぽい、エンジっぽい、「鮮やかな黒」って感じにパレットが染まっている。
「うーん。なんか具合悪くなりそうな色。」
言った僕をヤヨちゃんは目を細めて見た。拗ねてるんだろうな。僕は笑って、止めていた手を動かし始めた。途中まで塗っていた場所は渇きはじめていて、やっぱりムラが目立つ。
ていうか、そもそもアクリル絵の具で綺麗に塗れるのかな。ベニヤ板を絵の具で塗ったことが無いから分からない。でもヤヨちゃんがやりたいならやればいい。綺麗に塗れなくても。不気味な色だったとしても。
「ヤヨちゃん。個性だからいいんだよ。」
「なーに言ってんの。」
フォローした僕をヤヨちゃんは一蹴して、また一生懸命に色を混ぜている。
結局どんな色になるのか、僕は楽しみだ。
「槙野だったら、何味にする?」
雪を食べるなら、かき氷のシロップは何味にする?って言葉だ。そう言えば雪の日が続く季節が、もう少しで今年もやってくる。一年経とうとしている今も、その答えはまだ出せていない。
「いちご。」
「え?」
ヤヨちゃんがぐりぐりと色を混ぜていた筆を止めて、僕を見た。
「ううん。その朱色、いちご味みたいだなって。」
「そうかなぁ。」
ヤヨちゃんは納得していないみたいに笑って、また筆をぐりぐりとし始めた。
ヤヨちゃんは考えがあって混ぜているのか適当なのか分からないけれど、どんどん色を混ぜていく。その色を見ながら、いちご味はやめようと思っていた。誰にも僕の答えを当てられない味にしよう。涼太にも見透かされないように。
「ね!これどう?」
ヤヨちゃんが得意げにパレットを僕に見せてきた。何系統の色なのかも分からない。紫っぽい、青っぽい、エンジっぽい、「鮮やかな黒」って感じにパレットが染まっている。
「うーん。なんか具合悪くなりそうな色。」
言った僕をヤヨちゃんは目を細めて見た。拗ねてるんだろうな。僕は笑って、止めていた手を動かし始めた。途中まで塗っていた場所は渇きはじめていて、やっぱりムラが目立つ。
ていうか、そもそもアクリル絵の具で綺麗に塗れるのかな。ベニヤ板を絵の具で塗ったことが無いから分からない。でもヤヨちゃんがやりたいならやればいい。綺麗に塗れなくても。不気味な色だったとしても。
「ヤヨちゃん。個性だからいいんだよ。」
「なーに言ってんの。」
フォローした僕をヤヨちゃんは一蹴して、また一生懸命に色を混ぜている。
結局どんな色になるのか、僕は楽しみだ。