「槙野だったら、何味にする?」
日が暮れると風が本当に冷たい。新聞紙が風に流されて紙特有の音を立てている。僕は風に流されていく新聞紙を慌てて追いかけて中腰になって拾っていく。ベニヤ板を数人で運ぶよりも疲れたかもしれない。原因は新聞紙を拾ったからじゃない。
全部拾い終わって、それとヤヨちゃんの絵の具道具を持って校舎に入った。ヤヨちゃんはきっと、絵の具道具を忘れていることを、忘れているだろう。
三年生になったら教室は三階になる。一年生の方が若いんだから逆にしてほしい。階段を一段ずつゆっくりのぼった。ヤヨちゃんと涼太はどこまでジュースを買いに行ったんだろう。何本買うつもりなんだろう。
校舎には各階にジュースの自動販売機が設置してある。ペットボトルや缶はなくて、紙コップにボタンを押すと氷やジュースが注がれるやつと、四角い紙パックのやつ。
ヤヨちゃんは疲れた時は絶対にこれ!と言って飲んでいる紙パックのココアがある。設置してある自動販売機の中身もちょっとずつ違いがあって、そのココアが入ってる自動販売機は、ちょうど僕達の教室の目の前に設置されている物だけだった。
ヤヨちゃんはそれだけで、このクラスになったことを心底喜んでいた。
だからきっと、教室まで戻ったんだと思う。三階。三階だもんな。急いで行ったとしても十五分くらいかかったってしょうがない…。だってヤヨちゃんだもん。きっとそれくらいかかる。きっと。たぶん…。
全部拾い終わって、それとヤヨちゃんの絵の具道具を持って校舎に入った。ヤヨちゃんはきっと、絵の具道具を忘れていることを、忘れているだろう。
三年生になったら教室は三階になる。一年生の方が若いんだから逆にしてほしい。階段を一段ずつゆっくりのぼった。ヤヨちゃんと涼太はどこまでジュースを買いに行ったんだろう。何本買うつもりなんだろう。
校舎には各階にジュースの自動販売機が設置してある。ペットボトルや缶はなくて、紙コップにボタンを押すと氷やジュースが注がれるやつと、四角い紙パックのやつ。
ヤヨちゃんは疲れた時は絶対にこれ!と言って飲んでいる紙パックのココアがある。設置してある自動販売機の中身もちょっとずつ違いがあって、そのココアが入ってる自動販売機は、ちょうど僕達の教室の目の前に設置されている物だけだった。
ヤヨちゃんはそれだけで、このクラスになったことを心底喜んでいた。
だからきっと、教室まで戻ったんだと思う。三階。三階だもんな。急いで行ったとしても十五分くらいかかったってしょうがない…。だってヤヨちゃんだもん。きっとそれくらいかかる。きっと。たぶん…。