出逢えた、大切な人
連行された場所は美容室、生まれて初めてきた、違うこれで二度目。髪型一つで美人に生まれ変わるわけでもないから、化粧も同じ。
昔あなたもシンデレラになれるなんて広告に騙され、結局高いお金だけ取られ私を変えてくれなかった。
だから美容室なんて嫌い。
だから髪はずっと自分で切っていたから、長さはバラバラ毎日後ろ縛り。
化粧だって眉とファンデーションのみ、それがいつもの私。
カリスマだろうが私は変えられない。
店のスタッフは待ち構えたように私を奥の部屋へ連れていき、勝手に髪を切られバッチリメイク。
目を開けて鏡に映っている自分を見て驚いた、若い頃の母にそっくりだったから。
母は昔から周りから美人だと言われ、産まれた私は母に全く似ず、ブスと言われ続けてきた。
そんな私がイヤで祖母に押し付け捨てた。
鏡の中の私は生まれ変わった別人のよう、これが私!
信じられない。
私を連行してきた男、第一秘書の武藤、私を見て目を開きビックリしている。用意されたスーツに着替、今は社長室前。
この部屋に私を無理やり呼んだ本人がいる。
どうして私にこだわったのか、考えても……
考えられる答えは一つ……まさか
まさか……ね
私に利用価値なんてないのに。