Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-
「それと。あの場にいた3人には話、つけといた。今後なぎ高のやつらが平石さんに近づくことはないから、安心していいよ」
「え……」
「イブキからも、巻き込んでごめん、って。きっと、ちゃんと顔を合わせたいだろうけど……伝言でごめんね」
「……そう、だ。イブキくんは大丈夫なの? あの人たちと仲がいいようには……あんまり、思えなくて……」
言いながら、そう思えたのはわたしの願望かもしれない、と考えてしまう。
「あっちの交友関係について詳しいことは、俺もよくわからないけど。イブキなら大丈夫だよ。あいつは強いから」
「……強い……」
喧嘩が、って意味なのかな?
なぎ高に通ってるくらいだから、そうなのかもしれない。
でも……だとしたら。
「あの3人と話をつけたって……どうやって……?」
さっきの言い方だと、まるで本条くんがなにかをしたみたいだ。
あんなに乱暴な人たちなのに。
そう簡単に、お話し合いで解決できる相手だとは思えないよ。
……ひょっとして……。
本条家として動いてくれて、権力やお金で……とか。
または本条くん個人が物理的に、力ずくで……?
まさか、ね?
思いつく極端な憶測を心の中で笑い飛ばしていると、
「知りたい?」
どこか含みのあるような微笑みが返される。
「知らなくてもいいことだと、俺は思うけど」
「……」