Ephemeral Trap -冷徹総長と秘めやかな夜-
それにしても本条くん、早起きなんだな。
6時15分という送信時間の表示を見て思う。
なんだか解釈一致って感じだ。
ゆったり優雅な朝食をとっている本条くんの姿がありありと頭に浮かんで、それが妙にしっくりくる。
時間もないし、作るのが面倒だからとカフェオレだけで朝ごはんを済ませちゃうわたしとは大違い。
……お母さんがいたら、ちゃんと食べなさいって注意されそうだけれど。
そんなところも自由なのがひとり暮らしの特権だもんね。
本条くんに了解の旨のメッセージを返し、目覚ましをオフにして、わたしはやっとベッドから降りる。
まだ少しだけ重たい身体をぐっ、と伸ばし、のそのそ洗面所へと向かった。
〈着くころにまた連絡する、そしたら降りてきて〉
——追加でそんなメッセージが届いていたのに気づいたのは、わたしが支度を終えて、カフェオレを飲み終えたのとほぼ同時。
本条くんからもう着くよ、と連絡がきたときだった。
急いでマンションの下に出ると、すでに昨日と同じ車が、同じ場所に停まっているのが目に入って。
わたしが近づくと運転手さんが出てきてドアを開けてくれる。
恐縮しながら乗り込み、本条くんにおはようとお迎えのお礼を済ませている内に、車が発車した。