【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「では、これからよろしいですか?」

 エドワードがわたしの背を押し、ソファーに座らせようとしたところで、セドリックが話しかけてきた。

「そう言えば、アーリア、話し忘れていたことがあるのだけど……。学園長、打ち合わせの前に申し訳ないのですが、少しお待ちいただけますか?」

「かしこまりました」

 エドワードはわたしから手を引き、セドリックに対して丁寧に頭を下げる。

「セドリック様、お話していない件って、何かございましたかしら?」

「うん。ちょっと内密の話なんだけど……いいかな?」

 わたしを横目で見ながら、理事長室の奥の扉を指さすセドリック。

 理事長室の隣には、私的な休憩室がしつらえられている。大きめの長椅子があり、茶器などもそろっていて、執務の合間に軽く休憩できるようになっていた。

「はい。メイドを呼びますか?」

「いや、そんなに時間はかからないから」

「わかりました。こちらへどうぞ。エドワード様、ごめんなさい。セドリック様とのお話が終わったら、また改めてご連絡させていただきますわね」

 エドワードに謝ると、彼はにこりと笑って、ソファーに一人で腰かけた。

「大丈夫です。このまま待たせていただきます」

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