【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
戸惑うわたしに、セドリックは自分の足の間をポンポンと叩いた。
「ここに座って?」
「でも、お話が」
「そう。学園長が待っているから、あまり時間がない。アーリア、早く」
「あっ」
セドリックにうながされて近寄ると、腕を引かれ、足の間に座らされる。
そんなに身長差はないけれど、成長期のセドリックはやっぱり男で。後ろから抱えこまれると、その胸は意外と広く、しっかりと包みこまれる。
これは……どういうこと?
二人きりの密室で、目の前にはマジックミラー。そして、マジックミラーの向こうには、エドワードがいる。
「セドリック?」
「少し、話してもいいかな?」
「え、ええ」
セドリックはわたしの首筋に顔をうずめて話しはじめた。
「アーリアは学園長のこと、どう思っているの?」
「どうって……あの、頼りになる先輩であり、同僚だと思っていますけど」
「ずいぶんアーリアが学園長を信頼しているように見えた。悔しくなるくらい」
「それは……」
うーん、なんて返事をしたらいいんだろう。エドワードにせまられたことは、さすがに言えないわ。
わたしが逡巡していると、セドリックが小さくため息を吐いた。
「……困らせてごめんね。本当は、わかってるんだ。これは、僕の劣等感だ」
「セドリック?」
「ここに座って?」
「でも、お話が」
「そう。学園長が待っているから、あまり時間がない。アーリア、早く」
「あっ」
セドリックにうながされて近寄ると、腕を引かれ、足の間に座らされる。
そんなに身長差はないけれど、成長期のセドリックはやっぱり男で。後ろから抱えこまれると、その胸は意外と広く、しっかりと包みこまれる。
これは……どういうこと?
二人きりの密室で、目の前にはマジックミラー。そして、マジックミラーの向こうには、エドワードがいる。
「セドリック?」
「少し、話してもいいかな?」
「え、ええ」
セドリックはわたしの首筋に顔をうずめて話しはじめた。
「アーリアは学園長のこと、どう思っているの?」
「どうって……あの、頼りになる先輩であり、同僚だと思っていますけど」
「ずいぶんアーリアが学園長を信頼しているように見えた。悔しくなるくらい」
「それは……」
うーん、なんて返事をしたらいいんだろう。エドワードにせまられたことは、さすがに言えないわ。
わたしが逡巡していると、セドリックが小さくため息を吐いた。
「……困らせてごめんね。本当は、わかってるんだ。これは、僕の劣等感だ」
「セドリック?」