【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています

 ここは王立高等学園の卒業パーティーの会場。
 わたしは伯爵家の娘、アーリア・クラークルイス。

 二年前にこの学園を卒業したあと、貴婦人としての社交などをして過ごしている。いわゆる貴族の花嫁修業だ。
 ヒューバート王子が卒業した今年、結婚する予定になっていたのだが、たった今婚約を破棄されたところ。

 というか、たった今、前世の記憶を思い出したところだ……!!



 ――えぇぇ!?



 きっかけは婚約者である第二王子ヒューバートの衝撃発言。

 もちろん政略結婚で派閥のバランスを取ることが当たり前のこの貴族社会で、しがらみを無視した恋愛脳王子にびっくりしたというのもある。

 しかし、前世を思い出したのは、それじゃない。



 この場面、乙女ゲームで見たことある!



 そうなのだ。
 わたしは前世、日本という国で女子大生だった。ラノベや乙女ゲームが大好きで、バイトで稼いだささやかなお小遣いをつぎこんでいた。

 乙女ゲームの中の恋愛に夢を見すぎたせいか、恋人どころか男友達もいない喪女。目の前で行われている『悪役令嬢の断罪』は、当時のわたしの大好物だった。


 あれ……、でも思い出せない。なんて作品だったっけ?
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