【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
 国王陛下と王妃殿下への挨拶はつつがなく終わった。
 というか、もしかしてお父様とお母様が裏から何か手まわししたのかしら。妙な緊張感が漂っていたのだけど。

 陛下は親しげな笑顔をわたしに向けていたけれど、どことなく引きつっているような……気のせい?

「アーリア嬢、ヒューバートの件は申し訳なかった。父親として詫びたい。そして、セドリックのことも……その、すまない」

 なぜかセドリックのことまで謝られる。
 王妃殿下も優しい、やや同情を含んだ目で、わたしを見つめていた。

「ヒューバートにはきつく言い聞かせておきましたからね。エマとの結婚は許しましたが、わたくしは二人があなたをないがしろにしたことを忘れませんから」

 ほんのり冷ややかな声音が怖いんですけど……。

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