【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「セドリックをよろしくお願いいたしますね。少し、その……行きすぎたところがあるけれど、あなたを愛していることは確かなようだから」

「はい。不束者ですが、セドリック様を精いっぱい支えてまいりたいと思っております。今後ともよろしくご指導くださいませ」

「ああ、アーリアがお嫁に来てくれて、本当にうれしいわ。あなたがずっと努力してきたのはよく知っているもの」

「王妃様……」

 少しうるっとしてしまった。
 王妃殿下との付き合いはもう五年になる。それほど頻繁に会っていたわけではないけれど、わたしを見ていてくれたんだ。

 貴婦人の仮面をかぶりつづけた日々がちょっと報われた気がした。





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