【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「セドリック様、これからどちらへ?」

 ご両親への挨拶という一大イベントを終えてほっとひと息吐いたわたしを、セドリックは王宮のさらに奥へと連れていこうとする。

「兄上のところです」

「兄上?」

「あ、もちろんヒューバート兄上ではありません。ハロルド兄上です。おいやですか?」

 頼りなさげに見上げる瞳に、つい首を振って微笑んでしまう。セドリックはうれしそうにわたしの手を握った。

「よかった。さあ、行きましょう!」





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