【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
 エマとわたしは王宮の一角にある接客用の部屋を借りて向き合っている。
 メイドがお茶を入れ、軽い茶会の準備を整えると、エマは人払いをした。うーん、なんの話だろう。

「アーリア様、早速ですけれど……乙女ゲームってご存知?」

「………」



 ――お、乙女ゲーム!?



 わたしは辛うじて無表情を保ったが、内心はひどく動揺していた。なぜ、エマが前世の言葉を知っているの?

 エマはわたしをじっと見つめ、にやりと煽るような笑みを浮かべた。

「乙女ゲーム、立ち絵、スチル、ヒロイン……悪役令嬢。いかが?」

 これは……エマは転生者確定だ。
 そして、もしかしてエマは、わたしも転生者ではないかと疑っている?

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