【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
顔がとても熱い。わたし、きっと真っ赤だ。
セドリックが震える手でわたしにふれた。
「アーリア……」
横からわたしの体に手を回す。
まだ細い少年の腕に抱きしめられて、ぽろっと涙がこぼれた。
「泣かないで」
セドリックの指がまぶたをぬぐった。
そして、セドリックはずっと無言のままわたしを見つめていたが、やがて手を離し、ふいっと席を立った。
そのまましばらく待ったが、セドリックは戻ってこなかった。
外を見ると、次第に日が陰ってきていた。わたしはセドリックに会わずに帰宅した。
* * * * *
セドリックが戻らなかったのは、あんなふうに泣いたわたしに愛想を尽かしたから?
それとも。
やっぱりヒロインであるエマのほうがよくなったの……?
初恋にのぼせていたけれど、真のヒロインが現れたから、気持ちが変わったのかもしれない。
ゲームの強制力――いや、単にわたしに魅力がなかっただけなのかも。
「でも……」
あれほど情熱的に執着していたセドリックが、あっという間に心変わりするなんて信じられない。
思い出す仕草や言葉のあちこちに、愛情と独占欲を感じて、自室の寝台に寝転ぶと涙が止まらなくなった。
セドリックが震える手でわたしにふれた。
「アーリア……」
横からわたしの体に手を回す。
まだ細い少年の腕に抱きしめられて、ぽろっと涙がこぼれた。
「泣かないで」
セドリックの指がまぶたをぬぐった。
そして、セドリックはずっと無言のままわたしを見つめていたが、やがて手を離し、ふいっと席を立った。
そのまましばらく待ったが、セドリックは戻ってこなかった。
外を見ると、次第に日が陰ってきていた。わたしはセドリックに会わずに帰宅した。
* * * * *
セドリックが戻らなかったのは、あんなふうに泣いたわたしに愛想を尽かしたから?
それとも。
やっぱりヒロインであるエマのほうがよくなったの……?
初恋にのぼせていたけれど、真のヒロインが現れたから、気持ちが変わったのかもしれない。
ゲームの強制力――いや、単にわたしに魅力がなかっただけなのかも。
「でも……」
あれほど情熱的に執着していたセドリックが、あっという間に心変わりするなんて信じられない。
思い出す仕草や言葉のあちこちに、愛情と独占欲を感じて、自室の寝台に寝転ぶと涙が止まらなくなった。