【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「エマ。エマニュエル、ずっと一緒だよ」
わたしとセドリックが物陰から見守っているとは露知らず、エマとヒューバートは絶好調だ。
わたしと一緒にいる時は、取り澄ました冷たい顔か不機嫌な顔しか見せなかった彼が、とても情熱的に見えた。
「ええ、ヒューバート様、永遠に……」
エマも必死なのだろう。目をうるうるさせて、一心にヒューバートを見つめている。
第二王子を逃がすものかというエマの執念を感じた。セドリックが去り、逆ハールートが閉ざされた今、ヒューバートがグッドエンドの最後の砦なのだ。
「アーリア」
「…………」
「アーリア、食い入るように見ていますね」
「……セドリック様」
いつの間にか、セドリックが息のかかるほど間近に来ていた。
少しかすれたささやき声。
「僕も……アーリアとあんなことしたいな」
夢見るような瞳のセドリックが、可愛らしく小首をかしげた。
「アーリア、いろいろ話したいことはあるのだけど、僕も口づけしたくなっちゃった。少しだけいい?」
「え? ……え!?」
ここは緑が濃く、回廊や散策路からは死角になっているとは言え、れっきとした王宮の庭園。青空の下だ。
すぐそばには、セドリックの兄とその婚約者もいる。
わたしとセドリックが物陰から見守っているとは露知らず、エマとヒューバートは絶好調だ。
わたしと一緒にいる時は、取り澄ました冷たい顔か不機嫌な顔しか見せなかった彼が、とても情熱的に見えた。
「ええ、ヒューバート様、永遠に……」
エマも必死なのだろう。目をうるうるさせて、一心にヒューバートを見つめている。
第二王子を逃がすものかというエマの執念を感じた。セドリックが去り、逆ハールートが閉ざされた今、ヒューバートがグッドエンドの最後の砦なのだ。
「アーリア」
「…………」
「アーリア、食い入るように見ていますね」
「……セドリック様」
いつの間にか、セドリックが息のかかるほど間近に来ていた。
少しかすれたささやき声。
「僕も……アーリアとあんなことしたいな」
夢見るような瞳のセドリックが、可愛らしく小首をかしげた。
「アーリア、いろいろ話したいことはあるのだけど、僕も口づけしたくなっちゃった。少しだけいい?」
「え? ……え!?」
ここは緑が濃く、回廊や散策路からは死角になっているとは言え、れっきとした王宮の庭園。青空の下だ。
すぐそばには、セドリックの兄とその婚約者もいる。