【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「本当に長かった……。僕、この一年間、よく我慢できたと思わない?」
少年の声が、くたびれた大人の男のようにしおしおとつぶやく。
「そうだったかしら?」
ちょっとからかいたい気分になって、上目遣いに睨んでみた。
セドリックはすねたような笑みを浮かべて、可愛らしく口を尖らせた。
「もう、誰にも渡さないよ」
「セドリック……」
セドリックの瞳はとろけていた。蜂蜜のようにとろとろに甘い、恋をしている男の目だ。
セドリックはわたしをぎゅーっと抱きしめた。
「アーリア、心から愛してる」
「はい……。わたくしもですわ」
わたしはそっとセドリックの胸を押して、二人の間に距離を作る。
これ以上はセドリックが成人するまでおあずけだ。
「アーリア、やっぱりだめ……?」
「結婚を早めるための約束ですからね。おやすみなさい、セドリック」
「アーリアぁ……」
セドリックが本当に情けない顔をしたけれど、そんなに急がなくてもいいと思う。これからずっと一緒にいるのだから。
* * * * *
少年の声が、くたびれた大人の男のようにしおしおとつぶやく。
「そうだったかしら?」
ちょっとからかいたい気分になって、上目遣いに睨んでみた。
セドリックはすねたような笑みを浮かべて、可愛らしく口を尖らせた。
「もう、誰にも渡さないよ」
「セドリック……」
セドリックの瞳はとろけていた。蜂蜜のようにとろとろに甘い、恋をしている男の目だ。
セドリックはわたしをぎゅーっと抱きしめた。
「アーリア、心から愛してる」
「はい……。わたくしもですわ」
わたしはそっとセドリックの胸を押して、二人の間に距離を作る。
これ以上はセドリックが成人するまでおあずけだ。
「アーリア、やっぱりだめ……?」
「結婚を早めるための約束ですからね。おやすみなさい、セドリック」
「アーリアぁ……」
セドリックが本当に情けない顔をしたけれど、そんなに急がなくてもいいと思う。これからずっと一緒にいるのだから。
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