【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「あなたを娘として迎えられることを幸せに思います。わたくしのことは、実の母親同然に頼ってくださいな」

「ありがとうございます。幾久しゅうお願い申し上げます」

 結婚式の翌々日、わたしたちの結婚披露の夜会が催された。

 まずは国王陛下と王妃殿下に挨拶し、特に王妃殿下からは後見を約束するあたたかい言葉をいただいた。王家から望まれた花嫁だということを知らしめるという言葉は、本当だったのだ。

 そもそもわたしたちの婚姻が最速で結ばれたのは、セドリックの根まわしのたまものというだけのことではない。
 国王陛下の詫びの気持ちと、王妃殿下のあと押しの合わせ技の成果だった。

 その後も続いた国内の主だった貴族や外国の重鎮たちとの挨拶を、セドリックはつつがなく終えた。

 まだ幼いと言ってもいいほどの年で結婚し、第二王子の突然の臣籍降下で王位継承権が繰り上がったセドリックは耳目を集めた。
 しかし、常に冷静な思慮深い態度で、高い王位継承権を持つ王子としてふさわしい資質を感じさせたのだった。





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