【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「お手をどうぞ、美しい人。あなたと最初のダンスを踊る栄誉をどうかわたしに与えてください。……奥様?」
少しからかうような口調でファーストダンスに誘うセドリックは、大人びた正礼装を身に着けている。
夜会での振る舞いも自信に満ちていて、実際の体格よりもひとまわり大きく見えた。
声も少しかすれていて、足早に大人に近づいているかんじが頼もしいような、さみしいような……。
「はい、喜んで……あなた」
なんとなく頬が赤らむ。
人前に夫婦として顔を出すのは、これが初めてなのだ。
ダンスの時間。
華やかな音楽が楽団によって奏でられる中、まずわたしたちが踊り、そのあと客人たちがフロアに広がった。
「アーリア、本当に綺麗だ。みんな、あなたを見ているよ」
「そんなことないわ。若いお嬢様方はあなたに夢中みたい。時々、視線が痛いわ」
苦笑しながら、イブニングドレスの裾をひるがえす。
王立高等学園に通いはじめたセドリックは、たちまち女子生徒たちを魅了してしまったらしい。あまり社交的ではないわたしのところまで、そんな噂が流れてくるほど。
少しからかうような口調でファーストダンスに誘うセドリックは、大人びた正礼装を身に着けている。
夜会での振る舞いも自信に満ちていて、実際の体格よりもひとまわり大きく見えた。
声も少しかすれていて、足早に大人に近づいているかんじが頼もしいような、さみしいような……。
「はい、喜んで……あなた」
なんとなく頬が赤らむ。
人前に夫婦として顔を出すのは、これが初めてなのだ。
ダンスの時間。
華やかな音楽が楽団によって奏でられる中、まずわたしたちが踊り、そのあと客人たちがフロアに広がった。
「アーリア、本当に綺麗だ。みんな、あなたを見ているよ」
「そんなことないわ。若いお嬢様方はあなたに夢中みたい。時々、視線が痛いわ」
苦笑しながら、イブニングドレスの裾をひるがえす。
王立高等学園に通いはじめたセドリックは、たちまち女子生徒たちを魅了してしまったらしい。あまり社交的ではないわたしのところまで、そんな噂が流れてくるほど。