【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「だから、何?」

「こんなこと、いけません」

「……だめ?」

 背が伸びて、少し見上げるようになったセドリックの青い瞳が切なげに細められた。
 うぅ、またそういう顔すれば許されると思って! わかってやってるんでしょ。

「だ、め、で、す!」

「そうか」

 しゅんとするセドリック。
 あえて強気で、キリッと目を吊り上げて睨むと、セドリックはまた大人びた顔に戻って苦笑した。

「わかりました。でも、昨日した約束は守ってね?」

「約束?」

「生徒たちに想いを寄せられても相手にしない、と」

「そんなこと、あるわけないと思うけど……、もちろん約束は守るわ」

 ほんの少しだけ暗い目をしたセドリックは、ちゅっとわたしの唇をかすめとると、わたしから手を離し横の壁にもたれた。

「……本当は、ほかの男になんか見せたくないんだ」

「…………?」

「僕以外の男の目には絶対にふれないように、部屋に閉じこめてしまいたい。ずっと、僕だけを見ていてほしいんだ……」

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