【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「このなめらかな銀の髪、神秘的な紫色の瞳……。一見冷たく見える美貌なのに、笑うと急に親しみやすくて可愛らしくなる。手が届きそうな気がしてしまう。年下の男たちなんて、すぐに夢中になるさ」
だ、誰の話? まさか、そのひと、わたしなの? えぇぇ?
確かに結婚披露の夜会では、『紫水晶の君』とかなんとか言われていたみたいだけど……。
「セドリック、それは心配のしすぎよ。わたくしなんて、生徒たちよりずいぶん年上だし……」
わたしがちょっと納得できずにいると、セドリックが笑った。……いや、目は笑っていないかも……。
「あなたの夫は、何歳年下の男?」
「……十歳」
そうでした。旦那様は王立高等学園の一年生でした。
「ね? 本当に、もう……。アーリア? 僕という年下の男が、こんなにもあなたに狂っているんだよ」
うら若き少年少女の学び舎。
人けのない、朝の教室で――。
十も年下の少年の情熱的な視線に、真っ赤になって固まるわたし。
その少し乱れた胸もとのリボンを、セドリックが丁寧に直してくれた。
だ、誰の話? まさか、そのひと、わたしなの? えぇぇ?
確かに結婚披露の夜会では、『紫水晶の君』とかなんとか言われていたみたいだけど……。
「セドリック、それは心配のしすぎよ。わたくしなんて、生徒たちよりずいぶん年上だし……」
わたしがちょっと納得できずにいると、セドリックが笑った。……いや、目は笑っていないかも……。
「あなたの夫は、何歳年下の男?」
「……十歳」
そうでした。旦那様は王立高等学園の一年生でした。
「ね? 本当に、もう……。アーリア? 僕という年下の男が、こんなにもあなたに狂っているんだよ」
うら若き少年少女の学び舎。
人けのない、朝の教室で――。
十も年下の少年の情熱的な視線に、真っ赤になって固まるわたし。
その少し乱れた胸もとのリボンを、セドリックが丁寧に直してくれた。