【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
 タイプは違うけれど、セドリックや、わたしの元婚約者であるヒューバートと比べても遜色のない美形だ。

 その時、わたしの中にふと疑問が浮かんだ。
 このイケメンっぷり、普通じゃない。まるでメインキャラみたい……。

 エマ――今は、ヒューバートと結婚し、辺境伯夫人となったエマニュエル。この乙女ゲームの世界の『ヒロイン』として転生した少女。

 彼女が、以前言っていた。

『攻略キャラはね、とりあえず三人。王道俺サマ王子のヒューバートでしょ、それから草食系王子のハロルドに、弟枠のショタ王子セドリック』

『本命の隠しキャラを出すには、第一王子から第三王子までコンプしないといけないのよね』

 隠しキャラ……そう、エマは隠しキャラがいると言っていたんだ!

 ヒロインが在学し、ヒューバートが理事長に内定していて、セドリックもまた入学する学園の学園長というポジションも、なんとなく怪しい。
 もしかして、この人……、

「……隠しキャラ……!?」

「ん? ……何か?」

「い、いえ、なんでもございません。これからどうぞよろしくお願いいたしますね、エドワード様」

「お任せください、妃殿下。あなたに頼りにしていただけるのは、男としてこの上もない喜びです」

 エドワードが、ふたたびわたしの指先に唇を近づける。
 セドリックがそれをそっと外し、横からわたしの手をつかんだ。

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