【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
「大丈夫ですか、アーリア? あなたが傷ついていないかと心配になったのです……」
「お優しいのですね、殿下。わたくしは大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」
わたしが淑女らしく小さく微笑むと、セドリックは不満げに頬をふくらませた。
「セドリックと呼んでくださいとお願いしたはずです。昔のように」
「けれど、もう殿下がお小さいころとは違いますから」
「わかっています。アーリアが親しく名を呼ぶ男は婚約者だけなのでしょう」
初めて幼いセドリックと会ったのは数年前、わたしがヒューバートと婚約した時。
ふふ、金髪碧眼の美幼児、可愛かったなぁ。
今も可愛いけどね。
「だから、今日は結婚を申しこみに来ました」
「……は?」
わたしを出迎えたまま居並ぶ執事やメイドたちの前で、突然わたしの前にひざまずくセドリック。
まるで物語の中の騎士が姫君に忠誠を誓うシーンのようだ。
だが、そんなロマンチックな状況ではまったくない。婚約破棄をされたばかりの女と、十も年下の美少年。
しかし、セドリックの表情は真剣だ。
「僕なら兄上のように不実なことはしません。あなただけを愛し、一生守り抜くことを誓います。アーリア、僕と結婚していただけませんか」
「お優しいのですね、殿下。わたくしは大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」
わたしが淑女らしく小さく微笑むと、セドリックは不満げに頬をふくらませた。
「セドリックと呼んでくださいとお願いしたはずです。昔のように」
「けれど、もう殿下がお小さいころとは違いますから」
「わかっています。アーリアが親しく名を呼ぶ男は婚約者だけなのでしょう」
初めて幼いセドリックと会ったのは数年前、わたしがヒューバートと婚約した時。
ふふ、金髪碧眼の美幼児、可愛かったなぁ。
今も可愛いけどね。
「だから、今日は結婚を申しこみに来ました」
「……は?」
わたしを出迎えたまま居並ぶ執事やメイドたちの前で、突然わたしの前にひざまずくセドリック。
まるで物語の中の騎士が姫君に忠誠を誓うシーンのようだ。
だが、そんなロマンチックな状況ではまったくない。婚約破棄をされたばかりの女と、十も年下の美少年。
しかし、セドリックの表情は真剣だ。
「僕なら兄上のように不実なことはしません。あなただけを愛し、一生守り抜くことを誓います。アーリア、僕と結婚していただけませんか」