【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
セドリックは顔を上げて、かすかに苦笑した。わたしに対してではなく、自分自身を笑っているような。
「ごめんね、変なこと言って」
「いいえ。セドリックも、わたくしには強がらなくていいのよ」
「男は、惚れた女性には格好つけたいものなんだ」
「女だって、愛した人に頼られたいわ。信じてほしい」
「そう……?」
その瞬間、セドリックの中で何かが切り替わった気配があった。
セドリックが、いつもの挑戦的な笑みを浮かべる。弱々しい少年の顔は、一瞬でどこかに消え去ってしまった。
「じゃあ、証明して? 僕だけを愛していることを」
「……はい?」
「ほかの男には絶対にさせないことを、させて」
ゆらりと揺らめくセドリックの瞳に、目を奪われる。
結局、わたしもセドリックが好きなのだ。
* * * * *
その夜は、セドリックの夢を見た。
セドリックの傍らに、同じ年ごろの可愛らしい少女がいる。仲睦まじそうなふたりの姿はどんどん遠く、小さくなって……、やがて消えてしまった。
――そんな、夢だった。
「ごめんね、変なこと言って」
「いいえ。セドリックも、わたくしには強がらなくていいのよ」
「男は、惚れた女性には格好つけたいものなんだ」
「女だって、愛した人に頼られたいわ。信じてほしい」
「そう……?」
その瞬間、セドリックの中で何かが切り替わった気配があった。
セドリックが、いつもの挑戦的な笑みを浮かべる。弱々しい少年の顔は、一瞬でどこかに消え去ってしまった。
「じゃあ、証明して? 僕だけを愛していることを」
「……はい?」
「ほかの男には絶対にさせないことを、させて」
ゆらりと揺らめくセドリックの瞳に、目を奪われる。
結局、わたしもセドリックが好きなのだ。
* * * * *
その夜は、セドリックの夢を見た。
セドリックの傍らに、同じ年ごろの可愛らしい少女がいる。仲睦まじそうなふたりの姿はどんどん遠く、小さくなって……、やがて消えてしまった。
――そんな、夢だった。