【書籍化】婚約破棄された悪役令嬢ですが、十歳年下の美少年に溺愛されて困っています
 エドワードがさらに何かを言おうとした時、背後からざわめきが近づいてきた。

 六、七人ほどの男子生徒の集団……美しい金髪の少年と、彼を取りまく同年代の男の子たち。乙女ゲームの追加ディスクかと言うくらい、タイプの違う美少年が勢ぞろい。

 女子生徒のテンションが上がる。

「セドリック様よ……」

「素敵ですわ」

「ご学友の皆様も麗しいわね」

 美少年の集団の中でもひときわ整った顔立ちの金髪の少年――セドリックが早足に歩いてきて、わたしの前に立った。

 細いけれども、華奢には見えない。剣や体術の稽古に打ちこんでいるセドリックの体は、しなやかな筋肉がついていて美しかった。

「アーリア」

「セドリック様、ごきげんよう」

「…………」

 セドリックは周囲を軽く見まわし、先ほど黄色い声を上げていた女子生徒や、わたしを変な目で見ていた男子生徒を確認するような仕草を見せる。
 すっかり野次馬になっていた生徒たちは、さーっと四方に散っていった。

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