悪役令嬢の復讐マリアージュ
瞬間、心臓が弾けて。
恥ずかしくて、その姿が直視出来ないくらいカッコ良すぎて、すぐさま顔を背けた。

なのに言いたい事があるのか、ずっと視線を感じて……
ああもう何なのっ!?
そんなにお節食べたかったのっ?
いやでも見つめすぎっ、もう限界!
と再び窓の外に顔を向けた。

すると今度は楓くんに呼び戻される。
「あのさ……
俺の事、避けてる?」

直球!
しかもバレバレ……
だけど。
腹いせや復讐でされた行為でしかないのに、めちゃくちゃ意識してるなんて、悟られるわけにはいかなかったし。
罪悪感を感じさせたくないから、避けてるのを認めるわけにもいかなかった。

でも否定するなら、目を合わせなきゃ不自然で……
もうなるようになれ!と腹を括る。

「じ、自意識過剰じゃなくて?
私はただ、挨拶回りの事で頭がいっぱいで。
あなたごとき、いちいち気にしていられなかっただけよ」
って言ったよね?言えたよねえ!?
心臓をバックンバックンさせながら、スイと視線を外した。

「……ふぅん。
じゃあ俺が何しても、気にしないよな?」

その言葉に、えっ?と思うや否や。
私の右手が、楓くんの左手に(さら)われる。

「ちょっ、なっ……!」
何するの!と言葉にならず。
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