悪役令嬢の復讐マリアージュ
慌てて逃れようとしたら、キュッと指を絡められて。
ぎゃああ!死んじゃうっ。

「やめて!」

「何で?俺の事は気にしないんだろ?」

「そうだけどっ……
だからって、繋ぐ必要もないでしょおっ?」

「あるよ。
奥さんと手を繋ぎたいと思って、何か問題?」

いや思ってもないくせに!
でもそう言われたら何も言い返せなくて。

「〜〜っ、勝手にすればっ?」
と了承してしまう。

開き直って、今さら手くらい!と自分を落ち着かせてみるも。
その体温や密着する肌に、楓くんとの艶めかしい行為を連想させられて。

あああ!ほんとに死にそうっ。
しかも手汗が!どうしようっ
と内心テンパる。
挙句、平常心平常心〜!と必死に心で唱えてると……
親指がスリと撫でられて、ビクっと反応してしまう。

いやあっ、死ぬ!
恥ずかしさと、それだけでぶわりとくる感覚に打ちのめされてると。
隣からクックと、いつもの笑い声が聞こえた。

ひどい楓くん!
重松もいるのに、こんなとこで弄ぶなんて〜。

「いやほっこりしますなぁ。
仲がよろしいようで何よりです」

どこがっ!?
重松の目は節穴なのっ?
それからも楓くんは、繋いでる指や手を撫でたり。
チラチラこっちを覗いてて……
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