Tear Flowers〜小説家と「愛してる」〜

フィオナが振り向けば、宝石が散りばめられた豪華なベルラインのドレスを着たアイビーが幸せそうな顔をして入場してくるところだった。アイビーが歩く先には、硬い表情のピーターがいる。

フィオナは危険を察し、「アイビーさん！危険です、ここから逃げてください！」と叫ぶ。フィオナが叫んだことで注目は花嫁からフィオナに移り、「何だあの女は……」という目が突き刺さった。

「フィオナ？」

エヴァンたちも戸惑う中、フィオナはアイビーを逃がそうと参列席から立ち上がる。ピーターは危険な男だ。

しかし、フィオナが動くよりも早く乾いた音が会場に響いた。そしてフィオナたちの目の前で、アイビーがゆっくりと倒れていく。純白のドレスの胸元は真紅に染まり、アイビーがピーターに撃たれたと認識した刹那、参列席から悲鳴が上がる。

「アイビーさん！」

エヴァンが駆け寄り、アイビーの脈を調べるがすぐに首を横に振った。弾丸は心臓を貫いている。即死だ。