幼馴染みに彼女が出来ました!
「イ、イブの手、冷たいね……」
「俺、冷え性だから」
「男のくせに?」
「芽生ちゃんはあったかいね」
なんて、イブがふにゃりと笑って手を強く握るから、思わせ振りな態度取りやがってと思わずにはいられない。
思ったよりゴツゴツしていて、氷のように冷たい手。
お店のすぐ横の階段を音を立てて、私を引っ張るように上がっていった。
「萌花のコート貸すから」
「うん、ありがと」
内側がボアタイプになったベージュのコート。背中にリボンがついているタイプ。
華奢に見えたけど、少し大きいのが意外だった。
「どうした?」
「可愛いね、このコート」
「だろ?芽生ちゃんも似合うね」
「サイズアウトしたら、ちょうだい」
「怖いこと言うなよ」
イブが青くなって慌てるから、からかいがいがあって面白い。
「芽生ちゃんなんて嫌いだ」
「大丈夫、私は好きだよ」
「はいはい」
「幼なじみだもん。ずっと味方だよ」
「……っ、」
冬の帰り道、もう一度イブと手を繋いだ。
口数が減って、すぐ横を見上げたけどイブら向こう側を向いていてどんな表情をしているか分からなかった。