幼馴染みに彼女が出来ました!
なんだ、心配して損した。
遠慮なくカーテンを開ければ、布団に丸まっているイブの黒髪頭が視界に入る。
「イブくーん!起きて!!」
「ちょっと、紗央!」
思いきり体を揺する紗央に驚いて慌てて止めるも、イブはピクリともしない。
「そろそろ、芽生ちゃんをバイトに送ってく時間だよ~、起きてーー!」
続けて、イブの耳を引っ張って大きな声をあげるからぎょっとした。
「紗央!!まだ時間あるし大丈夫だって!」
「こいつ全然、起きないね……」
「紗央、今日も誠先輩と一緒に帰るんでしょ?」
「あー、うん」
「私はさ、起きるまで待ってるから」
眉間に皺を寄せる紗央の背中を押して、ベッドからなんとか遠ざける。
「じゃーね、今度起きてるときね」
「うん、また明日」
保健室を後にする紗央の背中を見送って、イブの眠るベッドに腰掛けてしばらくした後ーー。
「……うるせーよ」
布団の中から呆れたような声が聞こえた。