幼馴染みに彼女が出来ました!
「あれだよ」
「えー、分かんないよー」
「どれ……?」
3人で窓から校庭を見下ろして、ジャージ姿の男子達へ露骨に視線を向ける。
皆同じジャージじゃ区別つかないと思ったけど、周りと比べて少し低い背丈と鳥の巣みたいなふわふわな黒い髪の毛。
イブの姿は小柄だからか不思議と目立って見えた。
「3人で何見てんの?」
なんて、私達の背後から近付いてきたのは普通科の男子で、紗央の頭に思い切り乗っかってきた。
「誠くんっ!!」
紗央の彼氏で1つ上の先輩だ。
1回別れて、クリスマス前日に寄りを戻りた相手。相変わらす背だけは高くて、紗央曰く筋肉バカだからやけにガッチリしている。
清潔感があって雰囲気イケメンではあると思う。
でも、こいつのせいでクリスマスの夜に紗央に振られたんだよな。と、ちょっとムッとしてしまう。
「芽生の幼なじみがいるっていうから」
私の気も知らずに、紗央は誠先輩に状況を説明する。
「へー、どいつ?」
先輩までもが窓ガラスに手を当てた。
「えっと、あの黒髪の……」
「皆、黒髪じゃねーか」
「1番前の背の低い奴です」
皆に紹介する相手では無いんだけどな。なんて思いながらも、イブ目掛けて人差し指を落とした。