幼馴染みに彼女が出来ました!







「大丈夫ですか?バス停すぎてますよ?」

「……?」


はっと、顔を上げればバスの窓の外は真っ暗で何処を走っているのか分からなかった。でも、乗り過ごしてしまったという事だけは理解出来た。

慌てて立ち上がってふらついてしまえば、バスの運転手さんにクラクションを鳴らされてしまう。仕方無く、降車ボタンを押して席に座りなおした。



次のバス停で降りて、折り返せばいいかな。なんて、ぼんやりと考えながらポケットに手を入れた。



あれスマホはーー?

ポケットだけじゃなくて、スクールバックも探したけど見当たらなくて。どこに置いてきちゃったのか、バイト先かな?



「どうしましたか?」


通路を挟んで座る男の人が心配そうに声をかけてくる。
さっきから、なんか気にかけてくれてる人だ。



「あ、はい。あの、大丈夫です」

「でも凄い何か探して……あ、もしかしてあれ?」


彼の指差した先には、私のスマホが椅子の下に落ちていた。その人が席を降りて、座席の下に手を伸ばして取ってくれる。




「すみません、ありがとうございます……」


世の中には優しい人もいるんだな。
でも、なんか前にも同じ様なことがあったようなーー。


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