幼馴染みに彼女が出来ました!
「あ、あの……えっと」
まずい、不自然に見すぎちゃったかな。女の子は不思議そうに両手を胸元であわあわとさせている。
「あー、すみません。頑張ってくださいね」
いいなぁ、あんな可愛かったら彼氏とか困らないんだろうな。
寒そうだけどサンタのミニスカも似合ってたし。あれでケーキとか"あーん"される男がマジで憎い。
私の気分は急降下。空気だけじゃなくて心も寒い。気力の抜けた足でなんとかバスに乗り込み家に無事たどり着くことが出来た。
「なーにが"大丈夫"だよ」
と本音が溢れ落ちる。力のない息を吐いて一気に虚しさが沸き上がる。
「全然、無理……」
イブの夜に友達にも振られるなんて、本当に惨め。
いいなぁ。紗央は今ごろ彼氏と寄り戻してちゅっちゅっやってるんだろうな。
あー、いいなぁいいなぁ。
「私も髪の毛伸ばしてみようかな……」
肩までの短い黒髪の毛を、指先にくるくると巻きつけながら唇を尖らせる。
お風呂にも入らないままふかふかのベッドに飛び込んで、枕元にあるぬいぐるみを抱きしめた。心の中がモヤモヤに支配される、もどかしい気持ちのままぎゅっと目をつむれば、ゆっくりと深い眠りに落ちていった。