ときめきの香りは貴方ですか？
次の日、髪の毛を内巻にしてサイドの髪を後ろでバレッタで止めて、出勤した。

「あれ、今日は髪型変えたの？」
永富さんが席の後ろを通る時に声をかけてきた。

「たまにはいいかなと・・・」
「そう、デートだからかと思ったよ」
「し、仕事ですよ。今日の城崎さんとの外出は」
「別に僕は城崎のこととは言ってないけどね・・・」
もー、永富さん、絶対わざとですよね。

バスに乗る時間は14時20分、そろそろ出ないと・・・
「永富さん、出かけてきます」
「そうか・・・もうこの時間がきたんだね・・・気をつけてね」

なんだろう。
さっき、からかっていた時と違って、寂しそうで、かすかに瞳が揺れているように見えた。

バスか・・・あの日を思い出す。

私はバスに乗ると、自然とあの日と同じ席に座った。

「そうだ、今日の資料、もう1度、目を通しておかないと」
私は資料を読むのに夢中になっていると、話しかける声が聞こえた。

「風谷さん、お疲れ様」
そう言って、城崎さんが私の横に座った。

この香り・・・うそっ？なんで？

城崎さんの腕を見ると、あの時の腕時計だ！間違いない・・・

「き、城崎さん・・・だったんですか・・・あの日の人・・・」
「今から面接ですか」
城崎さんは微笑んで、

「まさか、あの日の学生さんが、風谷さんとはね」
ささやくように語りかけて私の目を見つめた。
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