ときめきの香りは貴方ですか?
「えっ?」
そう思って顔を上げたけど、少し後ろ姿が見えただけで、降りて行ってしまった。

私も慌てて降りてから辺りを見回したけど、同じようなスーツを着た人が多く、分からなかった。
入社したらまた会えるかな。
あの香り忘れられない。

「まだ少し早いな・・・あぁ、あそこのカフェ」
近くにあったカフェに入り、時間を潰すことにした。

バスで出会った男性に言われたように、自分の気持ちを伝えようともう一度あのイベントで受けた感動を思い出していた。

思いを言葉にするから、感情が込もる。
「うん、これでいこう!」
時間になり、私は会社へと向かって行った。

今日電車を乗り過ごしたことも、バスに乗ったことも、決して運が悪いわけではなかった。

緊張しすぎて本番上手くいくかわからないけど、ここまで来れたんだ。

面接の順番が来た。面接室の前に来て、一呼吸したあとノックをする。
「失礼します!」
覚悟を決めてドアを開けた。
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