ときめきの香りは貴方ですか?
「愛里、いいか、もし、俺のことを思って行動してるならよく考えて。俺が心から喜ぶことなの?それをすることで、愛里は心の底から楽しめるの?ねぇ、答えて」

優しく言い聞かせるように話す優也さんの言葉を聞いて、緊張の糸が切れて、泣き出してしまった。

「・・・愛里、ゆっくり深呼吸して。今どこにいるの?」
「駅の、駅の改札口です」

「分かったよ。いいね、改札口の辺りで待ってて。すぐに迎えに行くから。永富さんに報告したら直ぐに電話するから一旦切るよ。そこを動かないで」

そう言って、1分も経たないうちに電話がかかってきた。

「そのまま俺が着くまで切らないで」
優也さんは息を切らしながら、電話口で
「大丈夫だからね、あと少しで着くから」
それからずっと私に話しかけてくれた。

「着いたよ」

顔を上げると、少し先に肩で大きく息をしながら、電話を耳に当てて、こっちを向いている優也さんがいた。

私は安心して、涙が溢れ出てしまい、他の人に見えないように振り返ってハンカチを出して涙を拭いていた。
「良かった・・・」
優也さんが後ろから、私を包み込むように抱き寄せてくれた。
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